借金問題全般のよくあるご質問
クレジット会社に対する債務の支払を滞納していたら、クレジット会社から給与の差押をするとの予告を受けました。どうすればいいでしょうか。仮に破産する前後に差押がなされたらどうなりますか。
また、税金(所得税・消費税・住民税・国民健康保険税等)の滞納による督促状が来ている場合はこれとは異なりますか。
差押は、債権者が裁判所の力を借りて債務者の全資産を強制的に差し押さえて、これを金銭に換価して債権者に配当する手続です。差押は、法律が差押を禁ずる個別の例外的な財産(年金、生活保護費、失業手当、生活に不可欠な家財道具等)を除いて、債務者の全資産が対象となります。不動産はもちろん、例えば、債務者所有の宝石・貴金属や家財道具等の動産、有価証券、預貯金等金銭に換価可能なものはすべて差押の対象となるのです。
債権者としては、債務者が支払を滞っている状態であれば、債権回収を目的として、貸し付けている金銭(一般債権)を全額支払うよう裁判所に支払督促ないしは通常裁判を起こします。そして裁判所から支払督促命令ないしは判決を得て、これをもとにさらに裁判所に差押の申立てをするのです。
債務者が差押を受けることになれば、債務者の生活がさらに困窮することは必至です。
そこで、ご質問の例では、債務者としては差押を回避するために、当該債権者との間で、直ちに支払可能な範囲での分割弁済の交渉をするか、分割弁済する資力さえないのであれば自己破産の申立てをすることをお勧めいたします。
自己破産の申立てをして破産手続開始決定が出ると、まだ差押の申立てがなされていなければ、債権者としては、もはや差押の申立てをすることができません。仮に破産手続開始決定前に差押決定がなされていた場合は、破産手続開始決定により当該差押手続は中止されます(破産手続が管財事件となった場合は、差押はその効力を失います)。
さらに、破産手続により免責許可決定が出れば、差押をしていた債権に対しては、免責の効力が及びますので、差押をしていた債権は法的にチャラ(責任なき債務)となり、債務者はその債権について、もはや支払う必要がなくなります。
一方、税金の滞納処分の場合は、その法的効果が違いますので注意を要します。法律を根拠として発生する税金債権については、税徴収機関である国、県、市町村は、裁判所の手を借りることなく自ら差押をすることができます。法律上、督促状により滞納税金を督促状により督促した日から10日間経過すれば、差押ができることとされているのです。
したがって、ご質問のケースでは、税徴収機関との間で税金の分納をお願いして合意が成立するのであればこれに越したことはありません。破産開始決定が差押よりも先行した場合は、税金債権といえども差押さえをすることができなくなるのは一般債権の場合と同様です。
しかしながら、仮に破産手続開始決定よりも税金債権による差押が先行した場合は、当該差押は破産開始決定に拘わらず、効力は失われることなく差押は有効に存続し、破産手続中も差押額は徴収されることになります。
さらに、破産手続において免責許可決定が出たとしても、税金債権は、非免責債権といって免責許可に拘らず存続する債権ですので、一般債権と違って、その支払いを免れることはできません。