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借金と時効援用について

借金問題全般 弁護士 石田直也

借金と時効援用について

時効とは、一定の事実状態が法律で定める期間継続した場合に、継続した事実状態を尊重して、権利の取得や消滅という法律効果を認める制度を言います。
借金の場合だと“お金を貸した”という状態が法律で定められた期間継続した場合、その事実状態を尊重して、“貸した金を返せ”という権利(貸金返還請求権)の消滅が認められるということになります。そのため、お金を貸した側は貸金を回収できず、お金を借りた側は借金を返済しなくて良い、ということになります。

時効援用はどのような場合にできるのか。

借金における時効は、消滅時効(権利不行使の状態が一定期間継続することにより、権利消滅の効果を生じさせる時効)の問題ということになります。消滅時効が成立するには①法律で定める期間の経過②時効援用の意思表示が必要になります。
まず①法律で定める期間について、貸金返還請求権は債権に当たります。従って、原則として、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき(1号)」又は「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき(2号)」には、時効によって消滅するという、民法166条1項各号が適用されることになります。もっとも、法律で定める期間については、後述の民法改正と関係するため、変わることがあります。
援用とは、「援助」のために「用いる」と考えれば、自身に有利な状況作出のために利用する、という意味だと言えそうです。そのため、時効を援用するという意思表示が必要となります(民法145条)。時効援用の意思表示も要件である以上、単に法律で定める期間が経過しただけでは、時効の効果である、権利取得、消滅は発生しません。

借入先によって時効の長さが違うのか

従来、借入先が商人である場合は5年(商法522条)、そうでない場合は、10年(改正前民法167条)となっていました。商人とは、「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」(商法4条1項)を言います。商行為とは、絶対的商行為(商法501条各号)又は営業的商行為(商法502条各号)をいいます。
なお、2020年に民法が改正されました。改正内容の中には、借金を消滅時効にかける場合に絡む話もあります。改正民法は2020年4月1日から効力を発動しています。そして、2020年4月1日よりも前に発生している債権について、どのようなルールが適用されるかは、民法の一部を改正する法律というもので規定されています。

これによると、2020年3月31日以前に借り入れている場合は、改正前の民法が適用されることになります。従って、銀行や消費者金融などの貸金業者(会社)からの借金は、返済期日翌日から5年、友人や知人、親族など商人でない人、貸金業者(個人)からの借金については、返済期日翌日から10年が時効期間となります。
一方、2020年4月1日以降に借り入れた場合は、改正後の民法が適用されることになります。従って、時効期間は「権利を行使できると知った時から5年間行使しないとき」または「権利を行使することができるときから10年間行使しないとき」のどちらか早い方となります。そのため、貸金業者からの借金については、改正前と同様、返済期日日から5年が時効期間となりますが、友人や知人、親族など商人でない人からの借金についても、返済期日翌日から5年に短縮される可能性があります。

どのような場合に時効は中断されるのか

時効の中断とは、時効の基礎となる事実状態と相容れない一定の事実が生じた場合に、既に経過した時効期間を無意味とすることを言います。時効の成立要件のうち、①法律で定める期間の経過に関係する話ということになります。なお、「中断」という表現は、上述した改正前の民法での表現であり、2020年に改正した民法では、時効の「更新」と表現されています。ただし、「更新」と「中断」とで、中身に変わりはありません。そのため、以下では、時効の「更新」と表現します。
時効が更新となる事由を、更新事由と呼びます。従って、「どのような場合に時効は中断されるのか」という疑問の解答は、更新事由がある場合ということになります。即ち、債権者は、法律で定める期間が経過しないよう、更新事由に規定してある、裁判上の請求等をするということになります。
改正民法において、更新事由として、
Ⅰ裁判上の請求等(民法147条1項1号、2項)を行い確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したとき
Ⅱ強制執行等(民法148条1項1号、2項)が終了したとき
Ⅲ承認(民法152条1項)

の3つが定められています。

裁判されていたら時効は主張出来ないのか

時効援用の意思表示は、裁判上でも行うことができます。そのため、裁判されていたら時効は主張出来ないということはありません。

この記事の監修者

石田直也

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