過払い金返還請求のリスク
目次
過払い金請求をしたいけれども、リスクや不安を感じてしまう方も多くいらっしゃいます。
「家族や身内に借金・過払い金のことがばれたくない」「ブラックリストに載ってしまうのではないか心配」「クレジットカードが使えなくなったら困る」など、過払い金請求のリスクについて多くのご相談があります。
ですが、リスクを心配するせいで過払い金を請求しないのは、非常に勿体ないことです。
過払い金返還請求は、もともと払い過ぎていたお金を取り戻す手続きなので、基本的にリスクはありません。
しかし、場合によっては若干のリスクが伴うのも事実です。
過払い金を請求するときに、どのようなリスクがあるのか説明します。
そもそも過払い金とは?
一般的に、過払い金とは、本来支払う必要がないにもかかわらず、利息制限法の規定する制限利率を超える利率の利息を支払い続け、制限超過利息を借入金元本に充当した結果、借入金元本が計算上完済となっているにも関わらず、さらに支払っている金銭
を言います。
過払い金を請求するメリット
過払い金請求をした場合のメリットは以下の2つです。
・完済後の請求ならブラックリストには載らない
過払い金を請求するメリットは、「払いすぎていた利息分が手元に戻ってくる」ということです。
完済済み借金の「過払い金返還請求」をする場合のリスク
過払い金返還請求によって生じるリスクは、返還先の貸金業者の借金がまだ返済中であるか、既に完済しているかで異なります。
借金を完済している場合は、過払い金返還請求をしても、リスクはほとんどありません。
しかし、リスクがまったくないわけではありません。
リスクは以下4つです。
・過払い金の請求先ともめる場合がある
・過去の借金が家族にバレてしまう可能性がある
・生活保護が受けられなくなる
完済済みの借金の過払い金返還請求する場合のリスクをご紹介します。
時効や貸金業者の倒産により過払金返還請求ができない
過払い金の請求は、永久に請求できるわけではなく期限があります。
過払い金は、貸金業者との最後の取引から10年で時効となってしまい、時効になってしまった過払い金は取り戻すことができません。
また、過払い金返還請求先の貸金業者が倒産してしまうと、過払い金の請求はできなくなります。
請求できる過払い金があれば、早めに請求した方がよいでしょう。
契約日:2000年1月1日・完済日:2001年1月1日の場合、過払い金の時効は、契約日ではなく完済日から起算した10年後の2011年1月1日です。
契約書の締結日をみて時効になっていると勘違いしないよう、正確な期限は最後の取引日(完済日)を元に確認してください。
時効の計算の仕方は、計算の起算日となるのは「借り入れた日」ではなく「最後の取引日」となるのが重要なポイントです。
たとえば、借入の契約日が10年経過していたとしても、完済したのがそれから1年後だった場合はまだ「時効前」ということになります。
過払い金の請求先ともめる場合がある
過払い金が発生していて、既に返済する必要もないことを知っていながら返済を続けていた場合は、過払い金の返還ができません。
貸金業者によっては、民法705条「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」を理由に、過払い金返還請求の無効を主張する場合があります。
弁護士を立てて争えば、返還請求の主張が認められることが一般的ですが、個人で争う場合は押し切られてしまう可能性があります。
貸金業者とトラブルになる前に弁護士や司法書士に相談しましょう。
過去の借金が家族にバレてしまう
過去に作ってしまった借金を家族に黙っていても、手続きを進めていく途中で家族にバレてしまう可能性があります。
手続きに必要な書類(取引履歴など)の郵送物を見られたり、貸金業者との電話を聞かれたりといったリスクがあります。
家族にバレてしまうリスクを防ぐために、弁護士や認定司法書士に依頼することで、貸金業者との交渉を代行してくれます。
本人ではなく弁護士や認定司法書士に連絡がいくことになり、こうしたリスクは回避できるでしょう。
生活保護が受けられなくなる
過払い金として戻ってきたお金は、収入として扱われるので、生活保護受給者は、過払い金を受け取ることで生活保護を受給できなくなる可能性があります。
過払い金請求は自分のお金を取り戻すものなので、戻ってきたお金が所得税の課税対象になることはありませんが、収入に違いはありません。
過払い金を受け取った事実を隠して、生活保護を受給し続けてしまうと不正受給として罪に問われます。
生活保護受給者の人は、過払い金返還請求を受け取った場合は、必ず報告しましょう。
返済中に「過払い金返還請求」で生じるリスク
これまで完済済みの貸金業者に過払い金返還請求をするリスクについて解説してきました。
完済中の場合はリスクはほとんどありませんでしたが、返済中の場合は注意が必要です。
リスクは以下4つです。
・住宅ローン・自動車ローンの審査が通りにくくなる
・クレジットカードの利用ができなくなる
・準備に時間を取られる
返済中に、過払い金返還請求をしたことで生じるリスクをご紹介します。
ブラックリストに載る可能性がある
過払い金請求するとブラックリストに載るのではないかと心配される方が多いですが、“完済後の過払い金請求する場合”であればブラックリストには載りません。ブラックリストを気にする必要はないので今すぐ過払い金請求をしましょう。
ですが、
“返済中に過払い金請求する場合”は、ブラックリストに載るケースがあります。
信用情報に事故情報が登録されることを「ブラックリストに載る」と言います。
ブラックリストに載ると、5~10年程度は、新たにローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることができなくなります。
借金よりも過払い金のほうが少ないと、事故情報はそのまま登録されてしまい、ブラックリストに載ることになってしまいます。
返済中の過払い金請求でブラックリストに載るかどうかは、過払い金がいくら発生しているか、取引履歴を見て引き直し計算をしないとわかりません。
過払い金があるか、いくらあるかは、司法書士・弁護士に依頼することで調べてもらうことができます。
引き直し計算をしてから過払い金請求を検討することができるので、ブラックリストに載るリスクを回避することができるでしょう。
クレジットカードの利用ができなくなる
事故情報が登録されると、クレジットカードの利用はもちろん、クレジットカードを作成することも困難になります。
具体的には、事故情報の登録により、データベースに共有され、クレジットカードの作成を申請した際、クレジットカード会社が、事故情報が登録されている人を「経済能力を信用できないと考えるに足りる」と判断し、審査を落とすといった流れになります。
また、事故情報が登録されると、クレジットカードと同様、キャッシングの審査も通らなくなると思われます。
流れとしては、クレジットカードの作成と同様ですが、事故情報が登録されている人を「経済能力を信用できないと考えるに足りる」と判断し、審査を落とすことになります。
住宅ローン・自動車ローンの審査が通りにくくなる
事故情報が登録されることによるデメリットのうち、一般的に知られていると思われる事としては、「住宅ローン」や「マイカーローン」等といった、ローンが組めなくなるというものがあります。
ローンが組めない場合、住宅や自動車の購入は、現金一括でしかできなくなります。
住宅や自動車の購入まで制限されるわけではありませんが、多くの人が、自身の人生設計において、これらのような大きな買い物は、長期的に考えているというのがほとんどです。
何が起きるか分からない以上、自身の選択肢を狭めているというのは、不利益と評価し得ると思われます。
準備に時間を取られる
過払い金返還請求を自分で手続きを行う場合、過払い金の引き直し計算や必要書類の収集、貸金業者の担当者との話し合いなど、多くの時間を取られてしまいます。
過払い金を請求しても、貸金業者からのいやがらせ行為は法律で禁止されていますが、手続きを進めるために業務中であっても対応に迫られたりと、普段の仕事に支障が出るかもしれません。
法律事務所への相談を検討しましょう
過払い金返還請求は、利用者にとってリスクの少ない手続きですが、場合によっては若干のリスクが伴います。そのため、「自分でできるかも」と個人で手続きをする前に、一度当事務所にご相談してみてはいかがでしょうか?
過払い金返還請求は、自分で行わなくても、弁護士や認定司法書士に依頼することで、手続きを代行してくれます。「仕事で過払い金返還請求をする時間がない」という人は、法律事務所への依頼を検討してみましょう。