過払い金請求するとローンが組めないのか?

目次
過払い金請求とは
過払い金とは、簡単にいうと「払う必要のなかった利息」のことです。
過払い金が発生する仕組みは、かつて「出資法」と「利息制限法」という2つの法律で定めた上限利率が異なっていたためです。過払い金が発生している条件は「2010年以前に消費者金融やクレジットカード会社から借入れていた」ことです。
住宅ローンや自動車ローン、銀行系カードローンなどは過払い金の対象外となります。またクレジットカードはキャッシングの利用分のみ対象となり、ショッピング利用分は対象外となります。過払い金請求を行えば取り戻すことができますが、現在、請求できる時効が迫っているケースもあります。
ローンについて
まず初めに、ローンとは銀行などからお金を借りて、後から少しずつ支払う約束のことをいいます。 日々の生活費は、毎月の収入でまかなえたとしても、 たとえば車や家などの高額の買い物になると、お金を 一度に用意するのが難しいケースも出てきます。そのような場合にローンを利用することで、必要なものを必要なときに手に入れることができます。
代表的なローン一覧
ローンは、さまざまな種類の商品が提供されており、それぞれ特徴が異なります。ここでは代表的なローンとその特徴を紹介していきます。
ローンの種類 | 特徴 |
---|---|
カードローン | ・発行された専用のカードを使い、ATMなどを通じてお金を借りるローンです。 ・あらかじめ決められた利用限度額の範囲内なら、何回でも借りることができ、使い道も自由です。 |
自動車ローン | ・自動車を購入する資金を借入れるためのローンです。 ・「マイカーローン」や「オートローン」と呼ばれることもあります。 |
住宅ローン | ・マンションなどを購入したり、一戸建てを建築したりする際に利用するローンです。 ・リフォームや住宅ローンの借り換えにも利用できます。 |
教育ローン | ・子どもの進学に伴う一時的な教育資金などを借入れるローンです。 ・国や公的機関が提供する公的なローンと、銀行などが提供する民間のローンがあります。 |
フリーローン | ・使用目的を制限しないローンです。 ・カードローンとは違い、借りられるのは最初の1回のみとなっています。 |
事業者向けローン | ・企業や事業主などへの融資に特化したローンです。 ・法人名義で借りられるローンと、事業主の個人名義で借りられるローンがあります。 |
代表的なローン一覧
ローン契約とは、ローンを借り入れる際に金融機関と交わす契約のことをいいます。正式には「金銭消費貸借契約」と呼ばれています。 ローン契約書は2通作成し、それぞれに借入金額に応じた収入印紙を貼付(印紙税)して、1通を借主が、もう1通を金融機関が保管することになっています。
過払い金請求がローン契約時にどう影響するのか
前項では、過払い金請求とはそもそも何なのかということとローンに関する説明をしましたが、ここではそれぞれがどのように影響しあっているのかを説明していきたいと思います。
過払い金請求がローン契約に影響が出るのはどのようなとき?
ローンの申込時は、さまざまな項目を判断材料に審査が行なわれます。たとえば、世帯収入や現在の勤務先の勤続年数、家族構成などです。その項目の中に、これまでのキャッシング(カードローン)利用における債務状況、返済履歴なども含まれています。
具体的にどういうことかというと、すでに複数社から借入れを繰り返して収入に対する借り入れの割合が高くなっているときや、借入れ中のローンの支払いを延滞している場合には審査にマイナスの影響を与える恐れがあります。
過払い金請求は各種ローンに影響しない?
結論から言うと、キャッシング(カードローン)を完済している状態であれば、過払い金請求をしたことが直接の原因となって住宅ローンや自動車ローンが組めなくなることはないとされています。平成22年より以前は、過払い金請求をしたことが信用情報機関に異動情報として登録されていたため、過払い金請求がローンの審査に大きく影響していたと考えられますが、平成22年1月に金融庁の通達があってからは、信用情報機関で過払い金請求関連の情報を登録することが廃止されました。
平成22年4月には、金融庁から過去の過払い金請求関連の情報を削除するよう求めるリリースも出ており、即座に審査にマイナスの影響があるとは考えにくい状況です。したがって、現在は過払い金請求によって信用情報機関に異動情報が登録され、住宅ローンや自動車ローンを組めなくなるといった心配はありません。
借金返済中に過払金請求を行うと、ローン契約に影響する場合がある
過払い金請求をして戻ってきた過払い金で完済に至らなかった場合は「ブラック状態(いわゆるブラックリストに載ること)」となってしまい、ローン審査に通らなくなるおそれがあります。
上記のような場合、手続き上は「過払い金請求」ではなく「任意整理」の扱いになります。その結果、信用情報機関に事故情報が記録として残ります。任意整理した記録は、5年間程度信用情報機関に保管されるため、この期間内は住宅ローンや自動車ローンを組むことが難しくなります。キャッシング(カードローン)やクレジットカードの審査にも影響するため、お金の借入れ自体が難しくなる可能性があるでしょう。
また過払い金によって借金を完済できた場合でも、一時的に信用情報機関に債務整理情報が登録される可能性もあります。
このケースでは、過払い金の返還が確定した後に債務整理情報は抹消されるため、手続き完了後にローンを組めるようになります。
過払い金請求は、すでに完済した借入れに対して払い過ぎた利息を返してもらうための手続きであることが前提です。
前述した通り、債務が残っているときは、場合によっては任意整理となり、必要なときにお金を借りられなくなるリスクを伴います。
過払い金請求を検討している場合は、正しいノウハウを持つ専門家に相談したうえで、よく考えてから行動することが大切です。
過払い金請求とローン契約を両立させる3つの対処法
過払い金請求とローン契約を両立させるには、どうすればよいのでしょうか。3つの対処法をご紹介します。
借金を完済してから過払い金を請求する
借金を完済してから過払い金請求を行うなら、問題なくローンを組めます。
しかし借金を完済するには、返済に充てるお金を用意しなければなりません。ボーナスや臨時収入を得られれば返済額を増やせますが、難しい場合もあるでしょう。また、完済するまでローンが組めないというデメリットも生じます。完済までローンが組めなければ、購入時期が遅くなってしまいます。
ローンを組んでから過払い金を請求する
ローンを組んでから過払い金請求をしても、ローン契約に問題は生じません。仮に過払い金請求が原因で「ブラック状態」になったとしたとしても、ローンを解約されたり借金の一括請求を受けたりすることはないでしょう。ただし、ローンを申し込む時点で多額の借金があったり、返済を滞納していたりすると、住宅ローンの審査に通らないおそれがあります。
また、ローンを組んでから過払い金請求をしようと考えている場合は「時効」に注意が必要です。時効を1日でも過ぎてしまうと、そもそも過払い金を受け取ることができません。
過払い金を請求してからローンを組む
借金返済中に過払い金請求を行うと、戻ってきた過払い金を充当する形で借金を完済できる可能性があります。ただし、前述のように借金返済中に過払い金請求をするとブラック状態になるリスクもあり、そうなるとローンを組めません。
まず過払い金請求をする前に、「過払い金がいくら戻ってくるか」を確認しておきましょう。
そうすれば、戻ってきた過払い金で借金を完済できないことによるブラック状態を回避しやすくなります。
過払い金の額は自分でも計算できますが、弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談すれば、過払い金の額を計算してくれるでしょう。
おわりに
借入残高を完済した後に過払い金請求した場合は、住宅ローン・自動車ローンの審査に直接的には影響しませんが、過払い金請求後もなお残債務があるときは任意整理の扱いとなり、各種ローンの審査に影響する可能性があります。
そのため、新たにローンを組むことを考えている場合は、過払い金請求後にローンが残るかどうかについて、一度確認してから請求するようにしましょう。
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