自己破産のメリット・デメリット

目次
自己破産のメリット
自己破産をすると、住宅ローン、カードローンなどの借金の返済が請求されなくなります。もちろん、電話や郵便などでの督促もなくなりますし、返済に追われないという点から人生を一度リセットして再スタートするという大きなメリットがあります。しかし、多くの人にとって自己破産は、”できればしたくないこと”です。
その理由は、「なんとなく嫌だ」「イメージが良くない」「周りから反対されている」などの理由があるようです。
まずは、しっかりとメリットを確認していきましょう。
誰でも申し立てることができる
裁判所が、「支払いが困難である」と認めれば、誰でも自己破産をすることができます。
とくに収入についての制限もありませんので、無職、生活保護を受けている人、主婦であっても自己破産をすることは出来ます。
もうどうにもならないといって、命を絶つ必要はないのです。
返済義務が免除される
多くの方が、この”返済義務の免除”を目的に自己破産されます。
“返済義務の免除”とは、裁判所が「支払いができない状態」と認めたうえ、支払いを免除する決定をすることです。これを”免責許可の決定”と言います
この免責許可の決定により、それまでの借金の返済をする義務がなくなるというわけです。
請求・督促がなくなる
自己破産を弁護士に依頼すると、債権者である金融機関等に受任通知が郵送されます。受任通知とは、弁護士が「私が債務者から債務整理の依頼を受けました。今後は私に連絡してください。」という内容の通知です。
金融機関等がこの受任通知を受けると、今後直接債務者に連絡、または、請求することは金融庁のガイドラインにより禁じられています。
よって、請求や督促がなくなるというわけです。
財産すべてを失うわけではない
自己破産というと、”お金になる財産はすべて取られる”というイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。
実際、個人の場合はすべての財産を処分されるわけではありません。破産法という法律には次のような定めがあるからで。
第3項 第1項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
1 民事執行法(昭和54年法律第四号)第131条第3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭
2 差し押さえることができない財産(民事執行法第131条第3号に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第132条第1項(同法第192条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
どういうことかといいますと、次のようなものは奪われることはないということです。
①99万円以下の現金(預貯金は含まない)は没収されない
②20万円未満の預貯金は没収されない
③差し押さえが禁止されているもの
※差し押さえが禁止されているものとは、洋服タンス、ベッド、衣類など、生活に必要なもの等です。
自己破産のデメリット
自己破産することに、とても恐怖心を持っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。それは、ネットに溢れているウソなどから誤解をしてしまっているからではと思います。
一定期間、借入が出来なくなる
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。信用情報機関とは、消費者金融、クレジットカード会社、銀行などの金融機関が業界ごとにつくっているデータベースです。このデータベースに、自己破産をした情報が登録されることで、審査が通らないということが起こります。これが俗に「ブラックリストに載る」とか、「ブラックになる」と呼ばれる状態です。信用情報機関に事故情報が登録されている関係で、自己破産からしばらくの間(一般的には7〜10年間)は、借入れが難しくなります。
ただ、自己破産をするということは、今後は借金に頼ることのない生活をスタートさせるということですから、しばらくの間、半ば強制的に借金ができないということは良いことだととらえることもできるでしょう。
手続が終るまで、就いてはいけない職業がある
前述したように、制限職種といって、自己破産の手続中、就くことができない職業が法律上存在します。具体的には、警備員、生命保険募集人、古物商(ディスカウントストアの責任者など)、宅地建物取引士などです。制限職種の職業にすでについている場合、自己破産の手続き中は一時的に辞めていただくか、資格を使わずに仕事をしていただく必要があります。また、会社の役員(取締役)は、破産手続きが裁判所で開始した瞬間、法律上強制的に解任されますので、役員を続ける場合は、すぐに再任していただく必要があります。
保証人がついている借金がある場合は、保証人に影響が出る
債務に保証人がついている場合、債権者(金融機関)は保証人に対して返済を求めることになります。債権者は、借主が返済できなくなったときに備えて保証人を確保しているのですから、保証人へ請求しないようにさせることはほぼ不可能です。
官報に掲載される
自己破産手続きを行うと、官報に名前や住所などが掲載されます。官報は、国が発行する新聞のようなものとよく言われますが、普通の新聞とは違い、普通の本屋やコンビニなどでは販売しておらず、裁判所併設の本屋などの官報販売所で販売しています。一般の方で官報を購読している方はほとんどいないので、官報の掲載を理由に自己破産したことが周囲に知られることはほとんど無いのではないでしょうか。
官報に掲載される理由は、漏れている債権者がいないかの確認のためなどなので、金融機関ではチェックされていることが多いです。
自宅や車が維持できない可能性がある
まず、ローンの残っているご自宅などの不動産や車(自動車)は、担保にとられていることが多いため、自己破産手続きをしようとすると担保権を実行されて、維持できないことが多いです。
ローンが残っていない場合に、不動産などの高額な財産は、破産管財人による処分の対象となります。不動産は原則として処分対象ですが、親族に買い取ってもらうなどして、住み続けることができる場合もあります。
車については、資産価値が低い場合は、処分するよりもこのまま乗ってもらった方が有意義であるとして、維持できることも多くあります。裁判所にもよりますが、査定の結果、20万円未満であれば維持できることが多いと言われています。また、親族に買い取ってもらったりして維持することができることもあります。
そもそも自己破産とは
自己破産とは、裁判所に支払不能(借金を支払えない状態)と認めてもらい、財産を返済に充て、残りの借金を免責(免除)してもらう債務整理の方法です。
自己破産の種類
自己破産には、大きく分けて同時廃止事件、管財事件の2種類があります。
同時廃止事件
「同時廃止事件」とは,破産申立ての段階で一定以上の財産(20万円以上)がない場合に行われる手続きのことを言います。破産手続開始と同時に破産手続が廃止されるので,同時廃止と呼ばれています。
管財事件
「管財事件」とは、自己破産の手続きを申し立てた人に一定額以上の財産がある場合に、破産管財人と呼ばれる弁護士が裁判所から選任され、財産の調査(資産調査)・管理・処分、債権者への配当などを行う破産手続きのことを言います。
任意整理・個人再生との違い
任意整理と個人再生は債務整理の1つで、自己破産と同じ借金返済の救済制度です。
「任意整理」とは、裁判所を通さずに、借金を減額する手続きのことを言います。
「個人再生」とは、裁判所に再生計画を認められ、その計画どおりに返済することによって返済総額を減額する手続きのことを言います。
債務整理の違いを理解して、ご自身にあった手続きを利用しましょう。
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