過払い金請求をするとクレジットカードの利用に影響するのか?

目次
「過払い金の請求をしてみたいけれど、クレジットカードを使えなくなってしまうのでは?」
確かに過払い金返還請求をすると、請求をした会社が発行するクレジットカードなどは使えなくなる可能性があります。
ですが、実は過払い金返還請求をしても、全てのクレジットカードを使えなくなるわけではないのです。過払い金返還請求とは関係のない他の会社のクレジットカードであれば今までどおり使える可能性があります。
過払い金が発生する仕組みについて
“過払い金”とは、一言で言えば”貸金業者に払い過ぎていた利息”です。
お金を借りる時の利息について規定するのは利息制限法という法律ですが、かつて、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者の多くは、利息制限法が定める金利以上の利息を取り過ぎていました。
なぜ法律を守らず利息を取っていたかというと、利息制限法の上限金利をオーバーしても、いわゆる出資法という法律の上限金利を超えていなければ罰則はなかったのです。
そのため、利息制限法の上限金利は超えているものの、出資法の上限金利は超えない範囲(この範囲のことをグレーゾーン金利と言います)での貸付けが日常的に行われていたのです。
その後、最高裁判所が利息制限法の上限金利をオーバーする利息の支払いは、基本的には無効であるという判決を出したので、無効となった支払いは、返金を請求することができるのです。
このグレーゾーン金利の範囲内で支払っていた利息が過払い金で、その返還を請求できる権利が過払い金返還請求権なのです。
過払い金を取り戻せる可能性のあるケース
過払い金を取り戻せる可能性があるのは、次の2つの条件を満たす場合です。
2.最後に借入れ・返済をした日から、10年以内である
なぜ2010年6月17日以前でないといけないかというと、先ほどご説明した最高裁判所の判決を受けて、出資法や貸金業法が改正されました。
改正貸金業法が完全施行されたのが2010年6月18日なので、基本的にこの日以降は利息制限法に違反する貸付けは行われていないため、過払い金は発生しないことになるのです。
※実際には、大手の貸金業者などでは、先行して利息を引き下げていたため、この日以前であっても過払い金が発生していないこともあります。
また、最後に借入れ・返済をした日から10年以内でないといけない理由は時効との関係です。
過払い金返還請求権にも時効があり、基本的には、最後の借入れ・返済から10年が経過すると、時効により取り戻しできなくなっている可能性があるのです。
※法改正により、2020年4月1日以降に完済した場合、時効は最終返済日から10年(または権利が行使できることを知ってから5年)に変更となりました。
過払い金があったにも関わらず、時効により取り戻せなくなってしまうのは、あまりにもったいないですよね。過払い金についての法律相談は無料でできるところも多いですから、過払い金がありそうかどうかだけでも気軽にご相談ください。
過払い金返還請求をしても、クレジットカードを使える可能性について
過払い金返還請求をしたからといって、必ずしもクレジットカードが解約されて使えなくなったり、新たに作れなくなるわけではありません。
すでに借金を完済している場合には、過払い金返還請求と関係のない他社のクレジットカードが使えなくなることは基本的にはありません。
過払い金返還請求をした場合にクレジットカードを使えなくなったり、新たに作れなくなるおそれがあるのは主に次の3つのケースです。
2.過払い金返還請求をした会社と同一グループ会社のクレジットカードの場合
3.過払い金返還請求をしても、借金が残ってしまう場合
この3点についてそれぞれご説明します。
1.過払い金返還請求をした会社のクレジットカードの場合
まず過払い金返還請求をする場合、会社によっては、その会社の発行するクレジットカードは使えなくなってしまうことがあります。
さらに、過払い金返還請求が終わった後でも、同じ会社で新規にクレジットカードを作成することは難しくなります。
また、残念ながらクレジットカードそのものが使えなくなってしまう為、そのカードでのショッピングもできなくなります。
また、クレジットカードを複数枚持っていて請求先がすべて同じ会社である場合には、そのうち1枚について過払い金返還請求をする場合でも、原則として全てのカードが使えなくなります。
請求先のクレジットカードを公共料金や家賃などの支払いに使っている方は、支払方法を変更したり、ポイントを使い切るようにしましょう。
2.過払い金返還請求をした会社と同一グループ会社のクレジットカードの場合
過払い金返還請求をした会社と同じグループ会社のクレジットカードについては、基本的に、有効期限の途中で使えなくなることはありませんが、新規に作成することができなくなったり、更新の審査が厳しくなる可能性があります。
過払い金返還請求は、支払い過ぎたお金を取り戻すための正当な権利行使ですが、過払い金返還請求を受けた側の会社は、支払いたくなかったと考えて、社内やグループ会社内で、この人は過払い金返還請求をしたという情報を記録することがあるのです(いわゆる社内ブラック)。
そのため、新たにクレジットカードを作るという場合には、過払い金返還請求をした会社と無関係の会社を選ぶようにしましょう。
3.過払い金返還請求をしても、借金が残ってしまう場合
過払い金を請求しようとしている会社に現在も借金が残っており、過払い金を返済にあててもまだ借金が残ってしまうという方は、要注意です。
なぜかというと、その場合は過払い金返還請求先の会社だけではなく、他の会社のクレジットカードについても強制解約されて使えなくなったり、その後も一定期間はクレジットカードを新たに作ることができなくなる可能性があるのです。
それは過払い金返還請求をしても借金が残る場合、債務整理をしたという情報が信用情報に登録されてしまうからです。
ここでは過払い金の請求をする会社と借金が残っている会社が同じ場合の話を解説しましたが、例えば、完済しているA社に過払い金を請求しても、B社の借金は返済しきれずに残ってしまうという場合にはクレジットカードが使えなくなったりすることはありません。
完済している会社に対する過払い金の請求は、信用情報とは関係ありません。
ここで問題なのは、過払い金を請求する会社に借金が残る場合です。
過払い金返還請求をしても、クレジットカードを使い続けられる可能性はある
過払い金返還請求とは、支払い過ぎた利息である過払い金を取り戻すための手続きで次の2つを両方満たしている貸金業者に対して、過払い金を取り戻せる可能性があります。
2.最後に借入れ・返済をした日から、10年以内である
過払い金返還請求でクレジットカードを使えなくなったり、新たに作れなくなるおそれがあるのは、主に次の3つの場合。
2.請求先の会社やグループ会社では、請求以降、新規に作成・更新できなくなるおそれがある
3.過払い金返還請求をしても借金が残る場合、他社を含め一定期間はクレジットカードの作成や更新が難しくなる
まとめ
過払い金返還請求をすると、一部のクレジットカードは使えなくなってしまう場合もあります。
ですが完済している借金については、過払い金返還請求をしてもクレジットカードには影響がありません。
過払い金は放置していると時効になってしまい、取り戻せなくなってしまうことも。
過払い金が時効にかかってしまう前に、まずは過払い金がありそうかだけでも相談してみてはいかがでしょうか。
過払い金請求について関連記事

過払い金が発生する仕組みとは?

過払い金が戻ってこないケースとは?

過払い金請求するとローンが組めないのか?

リボ払いの過払い金請求は可能?リボ払いと過払い金について解説

クレジットカードは過払い金請求できる?
